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![]() ![]() 汗の悩みは、量の問題(多汗症)と臭いの問題(腋臭症:ワキガ)に大別されます。多汗症は身体全体に分布するエクリン汗腺から分泌される汗に起因し、腋臭症はワキ、乳輪や外陰部に分布するアポクリン汗腺からの汗が主な原因です。アポクリン腺は耳の中にも分布するため、ワキガ症の90%に湿った耳垢(軟耳垢)が合併します。 ワキガ臭はごく軽度なら、動物のフェロモンと同じく異性を興奮させる作用がありますが、日本人は体臭に敏感で、一般的に嫌悪される傾向にあります。 ワキガ臭には個人差があり、自分の臭いには鈍感なため、強い臭いでも自覚しないことも多いようです。周囲の人間が面とむかって「君、ワキガ臭いよ。治療したら」と指摘するのは難しく、同じエレベーターや車に乗らないように距離をおくことになります。何かのきっかけで、このことに気付けば深く傷つきますし、ほかに欠点もないのに積極的な生活ができなくなってしまうのは不幸なことです。 ワキガ症は遺伝傾向が強く、思春期ごろより臭いが強くなります。アポクリン腺の発達が一段落した10代後半以降に手術を行えば、術後の再発がなく理想的ですが、症状があると小学校高学年にはイジメにあうこともあり、再発の可能性があっても手術で一度改善してあげるのも精神的な発達の上では無理なことではないと考えます。 ごく軽度のワキガは、脱毛やボトックス治療で改善されることもありますが、ある程度強い場合は手術が必要です。当院では切開剪除法(せっかいせんじょほう)による治療をおすすめしています。ワキガ治療はアポクリン汗腺を取り除くのが原則で、もっとも確実に除去できるこの方法での満足度が高いと考えています。 他に小切開による吸引法や超音波吸引法がありますが、傷が小さくダウンタイムが短い(超音波法では3日間程度、切開法では10日前後は、ワキの安静のため90度以上に腕を挙げないようにします)という利点がある一方、臭いの除去率は丁寧に治療しても8割程度にとどまるため、経験的に満足度が低いように思います。 私の先輩は「カレーライスは80%食べ終わってもカレーの臭いはやっぱりするだろ」とたとえるのですが、実際に超音波吸引法では満足できず、最終的に切開法を行う方が多いようです。
切開法の手術時間は、両ワキで約1時間程度、日帰り手術です(性別や皮膚の厚さによって処理する範囲や皮膚の反転しやすさがちがうため、多少の差があります)。局所麻酔のあと、ワキの下のほぼ中央のシワに沿って3センチほど切開し、アポクリン汗腺を取り除きます。手術後1週間目に圧迫固定を外してシャワーが浴びられるようになり、2週間目ですべての糸を抜糸します。術後1〜2ヶ月で傷の赤みが落ち着いてシワにかくれ、3ヶ月程度で全体的な硬さがとれて、より自然な状態になります。皮膚の薄い方や色素沈着を起こしやすい方では、赤みが落ち着いたあとに茶色い色素沈着がしばらくつづくことがあります。これは日焼けと同じようにいずれは消えていきますが、ハイドロキノン(美白剤)クリームを塗ることで早く改善します。
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